糖尿病

当院では、内科専門医、腎臓専門医として数多くの糖尿病、糖尿病性腎症の治療経験を踏まえ、糖尿病合併症の進展予防目的に、糖尿病予備軍の段階から積極的なコントロールを目指しております。

外来診療では、血糖の平均値であるHbA1cと受診時の血糖値の測定、尿検査を実施します。これらの検査は、院内の迅速検査で数分以内に結果が出ますのですぐさま治療に反映することができます。

治療は、血糖平均値のHbA1cを治療目標値に近づけることだけでなく、血糖の日内変動(一日のうちで血糖値の上下の変動幅)をなるべく小さくすることを目標にします。

平均値のHbA1cが高くなくても日内変動が大きいと予後(合併症の進展)に影響するからです。内服薬の治療以外にも、インスリンなどの注射薬の治療が必要な方にも対応します。

上記薬物治療に加え、食事指導肥満の改善なども併せて行います。特に、肥満の改善により糖尿病や脂質異常の改善や治療薬の減量が可能となった患者様も増えてきています。(漢方内科を参照)

1、糖尿病について

糖尿病は、エネルギー源であるブドウ糖を有効に利用させるホルモンであるインスリンの分泌が悪くなったり、その働きが低下している状態の病気です。

放置すると徐々に進行し、危険な合併症を引き起こすことが知られています。
現在、糖尿病患者は約900万人で、予備軍を合わせると約2200万人と推定されています。年々増加傾向にあり、国が新たに四代疾患の一つと位置づけました。

2、糖尿病の診断

糖尿病には、インスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されて発症する「1型糖尿病」と、肥満や過食などの原因でインスリンの作用・分泌の低下により発症する「2型糖尿病」があります。糖尿病患者の99%が「2型糖尿病」です。

診断は、高血糖があることやHbA1cに値、糖尿病の典型症状や糖尿病性網膜症の有無などを確認して判断されます。

以下に示すように、まず「糖尿病型」であるか確認したのち、一定の条件を組み合わせて「糖尿病」と診断されます。

糖尿病型 ― 次のいずれかが確認された場合「糖尿病型」と判定されます。

早朝空腹時血糖値 126㎎/dl
75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間値200㎎/dl以上
随時血糖値 200㎎/dl以上
HbA1cが6.5%以上

糖尿病 ― 次の場合に「糖尿病」と診断されます。

別の日に行った検査で「糖尿病型」が再確認できること
血糖値とHbA1cを同時に測定し、ともに「糖尿病型」であること
血糖値が「糖尿病型」を示し、糖尿病の典型的症状(口渇、多飲など)かまたは糖尿病性網膜症のいずれかがみとめられること

3、糖尿病予備軍

正常型、糖尿病型の両方に該当しない場合を境界型といい、「糖尿病予備軍」と呼ばれています。ある調査では、予備軍の約20%が5年以内に糖尿病に移行することが報告されています。
動脈硬化は糖尿病予備軍の時期から進行することが指摘されており、予備軍は血糖正常者に比べ、総死亡率、心疾患発症率の高いことが指摘されています。糖尿病予備軍だからまだ大丈夫と安心せず、生活習慣など積極的に見直す必要があります。

4、糖尿病の合併症

糖尿病を治療せずに放置しておくと、様々な合併症が起こります。網膜症、腎症、神経障害は糖尿病の三大合併症と言われています。網膜症は、失明の主な原因の一つであり、腎症は腎不全の進行を招き、人工透析導入の最も多い原因疾患となっています。その他にも、動脈硬化を促進するため心筋梗塞、狭心症、脳卒中や足の血行不良から組織が破壊され「足壊疽」がおこりやすくなります。

5、治療方法

(1)食事療法と運動療法

  • 性、年齢、体重、身体活動量、血糖値、合併症の有無などを考慮し、食事の内容や量などを見直し、適正にします。
  • 運動により、ブドウ糖の消費が増加し、インスリンの作用が高くなります。1日1万歩を目標にがんばりましょう。
  • 間食や不規則な食事摂取、肥満、飲酒、喫煙なども糖尿病に影響を与えます。これら生活習慣の改善も必要です。

(2)薬物療法

  • 食事療法や運動療法を行っても効果が不十分な場合、血糖値をコントロールする薬物療法が必要になります。
  • 薬物療法は、内服薬での治療やインスリン注射での治療があります。

(3)脂質異常・血圧のコントロール

心筋梗塞や脳卒中など心血管障害・脳血管障害、糖尿病性腎症の進行を予防するためには、血糖値のコントロールだけでは不十分で、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)や血圧も十分に治療する必要があります。脂質異常症や高血圧は、糖尿病でない人よりも厳しい管理が必要です。