クリニックでは患者さんの皮膚疾患をただの皮膚の問題だけでなく、胃腸・食生活・生活習慣・睡眠・ストレスによる影響など身体全身のバランスの乱れとしてとらえて治療しています。
皮膚疾患を軟膏、抗アレルギー剤だけで治療してもなかなかよくならない患者さんは多くみえます。
皮膚は腸と大きな関係があります。漢方薬で、胃腸を整えながら、生活習慣を改善して、体の中から皮膚を改善していきましょう。

漢方の処方の仕方について

漢方薬は、皮膚のみをみるのではなく根本的な体質改善を目指す処方をしています。

漢方薬処方の決定には、腹診(お腹をさわって体質を確認)、脈、舌などを観察して行います。証の決定は患者さんの脈や舌から体質を見極め、病態をつかむ診察方法を用いますので、必ずしも患者さんが自分で考えている病状と一致するわけではありません。アトピー性皮膚炎の治療で来院されたのに、胃腸の薬がでたりするのはそのためです。体全体を把握して治療することが、病期の根治につながるからです。


また、医師は、常にその薬がどのように効いているのか、また、その薬によってどうかわったのかを確認しますから、長期投薬を控え、2週間ごとで診察にきていただくようにお話することもあります。特に薬を変更した時はそうです。また、漢方薬は様々な種類の生薬が組み合わさり、出来ていますので、書かれている効能・効果が全てではありません。

当クリニックでの特徴

漢方医学は生体に備わった生理作用を利用した自然治癒力を最大限に生かす、自然な治療法です。
地球環境の悪化、食生活や生活様式などの変化により、今日の日本人は脆弱になり、生体の防衛反応が衰えた状態になっている人が多くみられます。
現代医学の治療は漢方治療の立場からみれば、やや攻撃的な治療であると考えられます。
また、漢方治療は、いわゆる「未病」にも最適な治療法だと考えられています。
病気の治療だけでなく、未病にも対処することで、皆様の健康管理のお役に立つことがができれば幸いです。

当院では保険適用のエキス剤を用いています。ご希望や病状によって、煎じ薬をお薦めしています。

漢方薬の適応

漢方薬は、急性の病気から慢性の病気に至るまで、ほとんどの病気に適応があります。診療科の枠にとらわれず「個人」毎の病状に合わせて適用されますので、どの科を受診したらいいか迷っている方は一度ご相談ください。
西洋薬が合わない方や「未病」にも漢方薬が適しているとと考えます。

漢方薬が適応となる疾患の例

胃炎(急性・慢性) 胃弱症 胃下垂 消化不良 腹痛 下痢(急性・慢性)
便秘 過敏性腸症候群 逆流性食道炎
感冒 咳嗽(慢性) 病中・病後の疲労回復  夏バテ 慢性疲労症候群
口渇 咽喉異常感(のどのつかえ、違和感) 鼻炎 花粉症 蓄膿症
冷え症 のぼせ めまい メニエール 動悸 自律神経失調症
低血圧症 頭痛・片頭痛
月経痛 月経不順 月経前症候群 更年期障害
慢性膀胱炎 
浮腫  一部腎臓病にも有効
腰痛 関節リウマチ 肩こり こむら返り
ニキビ 皮膚の乾燥 じんましん 湿疹 アトピー
など

副作用

漢方薬の副作用自体は、西洋医学の薬剤に比べるても決して多くなく、約1~3%未満といわれています。そのほとんどが、胃腸症状や湿疹、動悸、めまいなどです。中止することにより、多くは改善します。

薬の併用

西洋薬との併用は、多くの場合、問題となることはありません。ただ、一部薬剤によっては注意を要するものもあるため、受診時に必ず医師に相談することをお勧めします。
一般的には、現在受けておられる治療に漢方薬を併用することで、治療効果を高めることや一部西洋薬の用量を減らすなどの補完作用を目的として、また、薬のアレルギーで飲めない薬がある場合などの代替手段としても使用されます。

漢方の診察

漢方の診察法を「四診」といいます。
四診とは、望診、聞診、問診、切診の四種類の診察法の呼称です。

現代のような検査機器の発達してなかった時代においては、医師の五感を通して様々な方法で患者情報を集めて、それをもとに診断を下し、治療方法を選択してきたのです。
このような事情から、診察では、一見訴えと関係のない事柄をいろいろと聞いたり、関係のなさそうな体の部位を観察したり触れたりします。
たとえば、頭痛なのに、舌を見たり、おなかを触ったりします。これらはいずれも漢方では重要な診察法です。

望診

視覚による観察
舌診(舌の状態を観察します)

聞診

聴覚や嗅覚による観察

問診

訴えを聞く
西洋医学よりも詳しく、一見関連のなさそうなことも尋ねます

切診

触診のこと
脈診(脈を触れる)
腹診(腹部を触る)

いずれも大事な診察法で、受診者の協力を必要とします。
診察方法で、どうしても抵抗を感じられる方は事前に医師に申し出てください。

漢方治療(保険適用)|うえだ皮膚科内科八田院|名古屋市中川区