乾燥肌とは、肌が乾燥している状態のことです。

乾燥肌(ドライスキン)と呼ばれる状態は、うるおいが十分にある皮膚に比べて角層内の水分量が低くなっています。皮膚の角質は、体の水分が外に出ていってしまうことや、外部の刺激から深層部を守るバリアとしての機能を持っています。水分や皮脂が不足すると角質がはがれ落ちてしまい、ひび割れが起こったり、粉をふいたり、乾燥によって肌がかゆくなりやすくなり、ひっかくことで湿疹になってしまうことがあります。
皮膚の水分量は、皮脂・天然保湿因子NMF・角質細胞間脂質という3つの物質によって通常は一定にキープされています。しかしストレスや加齢によって、これらが十分な量分泌されなくなったり働かなくなったりすると、肌から水分が蒸発しやすくなります。
秋から冬にかけての空気の乾燥による外的要因、また、加齢や入浴時の洗いすぎが原因で、乾燥は悪化します。皮膚の乾燥の強い状態が続くと刺激に対して過敏になり、赤みやかゆみを引き起こして湿疹を起こすことがあります。
また、皮膚の乾燥は、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患の症状を重くしてしまうことがあります。

空気の乾燥によって皮膚から直接水分が奪われます。また、肌に直接与えられる刺激も乾燥肌の原因となります。たとえば洗顔や入浴の際に、洗浄力の強い石けんを使ったり、熱い湯を使ったり、タオルでごしごしとこすったりしたりすると、皮脂を過剰に洗い流してしまい、バリア機能が低下してしまいます。洗顔スクラブやマッサージを頻繁に行うことも、肌を傷つけるほか天然保湿因子を生成するパワーを下げる要因です。
このほか、紫外線も角質にダメージを与えます。紫外線を浴びると肌の表面を守るために角質が厚くなる一方、肌の深層部ではバリア機能が落ちて水分が外に蒸発しやすくなり、どんどん乾燥が進行します。

また、加齢の影響で皮膚の皮脂や汗の分泌が減ってしまうことも乾燥の原因になります。皮膚表面を覆う皮脂は、皮膚に含まれる多くの水分の蒸発を防いで皮膚に水分を保持するはたらきを持っています。そのため皮脂が不足することにより皮膚内部の水分が蒸発し、皮膚の乾燥を引き起こしてしまうのです。

乾燥肌の症状

乾燥肌(乾皮症・皮脂欠乏症)は、皮膚の乾燥が進むことにより、皮膚表面の角質が剥がれ落ちたり、ひび割れといった症状が引き起こされます。また皮膚のバリア機能が損なわれてしまうことにより、些細な刺激に対して痛みを感じたりかゆみを伴ってしまうこともあります。血行が良くなることでもかゆみは起こりやすく、かゆみを伴い掻きむしってしまうことで湿疹が出来たり、掻きむしった小傷から細菌が侵入して感染症を引き起こしてしまうケースも少なくありません。皮脂が減少することにより発症するため、身体中どの部位にも起こり得ますが、手足や背部、膝下などに起こりやすいと言われています。

基本的には患部に保湿剤を塗布して皮膚を保湿することで自然に改善していきます。しかし、かゆみを伴うことで湿疹が生じている場合は、ステロイド薬の塗り薬として使用し、湿疹が落ち着き次第ステロイドは中止して保湿剤に切り替えて経過観察を行います。保湿剤は、皮膚に水分を保持させ乾燥や刺激から皮膚を守ることで、湿疹などの発生や悪化を防ぐことが出来るので有効的です。かゆみを伴い皮膚を掻きむしってしまうことで小傷から感染症が引き起こされる場合もあり、その際には原因となる細菌などの病原体を特定するために、膿などを採取し培養する検査を行うこともあります。感染症を併発している場合は、抗菌薬などの塗り薬が必要になる場合もあります。またかゆみの症状が酷い場合には、皮膚の掻きむしりによる湿疹や感染症を防ぐためにかゆみを抑える飲み薬を使用することもあります。

乾燥肌(乾皮症・皮脂欠乏症)の発症を予防するには、皮膚の乾燥が起こりやすい秋から冬にかけては、こまめに保湿剤を用いて乾燥を予防・改善すること、入浴後の角質に水分が残っているうちに出来るだけ早く保湿剤を使用することが大切です。乾燥しやすい時期は乾燥を防ぐために加湿をしっかり行うなども効果的です。また洗浄力の高い石鹸や過剰な皮膚の洗浄は、必要な皮脂や角質まで取り除いてしまうので、入浴習慣の見直しも必要かもしれません。また皮膚再生に大切な睡眠を十分にとることやバランスの良い食生活を行うなど、基本的な生活習慣も意識しておくことが大切です。

乾燥肌(乾皮症・皮脂欠乏症)|うえだ皮膚科内科八田院|名古屋市中川区