陥入爪は、爪の端が周囲の皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態です。
一方、巻き爪(弯曲爪)は、爪の端が内側に巻いている爪の変形です。陥入爪と巻き爪は厳密には別の疾患ですが、巻き爪が陥入爪を起こす原因となる場合、あるいはその逆もあり、治療法や予防法にも共通する点があります。

陥入爪
巻き爪

陥入爪とは、爪の角や側面が皮膚に食い込んで炎症を起こす状態です。痛みや腫れ、赤みなどの炎症症状がみられます。

原因
深爪を繰り返す、先が尖った靴を履き続ける、緩すぎる靴を履く、 ストッキングや先細のハイヒールによる締め付け。

症状
爪の横に肉が盛り上がる、化膿して悪臭を放つ、赤みと腫れが強くなる、 じゅくじゅくした肉芽ができる。

保存的治療
  • コットンパッキング…爪の端にコットンを細く、こより状にして詰める。詰めることにより、隙間ができて圧迫が少なくなり、痛みがへります。
  • テーピング…爪の側面の皮膚を外側へ引っ張ることにより、爪と皮膚の間に隙間を作る方法です。コットンパッキングと組みあわせることにより効果が高まります。
  • アクリルガター法…肉芽形成をともなう陥入爪には、食い込んでいる部分にアクリル製のチューブを挿入して食い込みをやわらげるアクリルガター法があります。

上記の保存的治療で改善しない場合に爪矯正法を行います。

爪矯正法
  • 超弾性ワイヤー法(自費)…マチワイヤーはニッケル、チタン合金に特殊処理をほどこした合金で作られたワイヤーです。強く曲げても回復力があり、曲げた状態でも数ヶ月以上にわたり強い回復力を持っています。その力で巻き爪の形を少しずつ矯正します。爪の先端に穴を2つ開けてマチワイヤーを装着しておけば、爪の成長とともに矯正されていきます。
    この治療の時、 リネイル®ゲルを使用しています。リネイル®ゲルは、爪をやさしく軟らかくする外用薬です。爪の主成分「ケラチン」をほぐすことで、硬くなった爪を柔軟にし、巻き爪矯正具の効果を高めます。
  • VHO法(自費)…VHO式ワイヤーによる巻き爪矯正治療は、爪を深く切り込んでいても施術が可能な治療です。手術をせずに巻き爪を治療することが可能です。保険の適応ではありませんので、自費の治療になります。まず、専用の針金を爪の彎曲に合わせて彎曲させ、爪の左右にひっかけて固定し、左右の針金を中央で巻き上げて固定していきます。矯正治療は初回ワイヤーをかけてから2~3ヶ月後にワイヤーをかけ直すことになります。ワイヤーをかけた爪が伸びていくため、爪の先に移動したワイヤーを根元の方に移動させないといけないからです。症状にもよりますが、爪が矯正されるまでに年平均3回のワイヤーかけなおしが必要で、治療には、6ヶ月~2年ほどかかります。
手術療法(フェノール法/保険適用)

陥入爪の治療は、手術によって爪の根を取り去る方法が今までは主流でしたが、この術式ですと、手術後の痛みは強く、歩行にも制限が生じて非常に大変でした。そこで、最近フェノールという薬品を用いてメスを使わずに爪の根元を焼いてしまう方法が試みられています。局所麻酔をして、陥入している部分の爪を切除し、そこに薬剤を塗布して陥入していた部分の爪だけを生えなくさせる方法です。

  1. 足の指の根元に局所麻酔の注射をします。
  2. 陥入している爪を取り除きます。
  3. 陥入している爪を抜去した根元にフェノールを塗布します。
  4. 傷は2週間ほどで、きれいになっていきます。

切らないこと、すぐ治療できること、翌日から靴が履けること、術後の痛みが少ないことがメリットです。

所要時間:30分程度(片足ずつ行います)
副作用:傷が治る期間は個人差があります。また、まれに痛みが強い方がいます。
手術創に細菌感染を起こしたり、肉芽形成をおこすことがあります。

  1. 圧迫を避ける
    先細のハイヒールによる締め付けに注意するなど、爪が強く圧迫されないようにします。
  2. 正しい爪切り
    爪の長さは、指先と同じくらいにそろえ、全体的な形は、角に少し丸みのある四角形に整えるようにします(スクエアオフカット)

症状
爪の端が内側に巻いている爪の変形です。爪の変形だけではなく、爪の下の骨にも突出や骨棘などの変形を伴っていることがあります。多くは足の親指に生じますが、そのほかの足や手の指にも生じることがあります。歩行時や運動時に、爪の先端部分が圧迫されて、足の指先に痛みを生じたり、爪の下に血腫を生じたりすることがあります。一方で、爪が強く弯曲していても痛みが全くないこともありますが、爪の弯曲が強く厚くなると爪切りが難しくなり、爪が突出すると靴や靴下を履くのが難しくなるため、生活に支障が出ることがあります。また、巻いた爪の端が皮膚に食い込んで陥入爪の原因となることもあります。

原因
先のとがった靴などによって、爪が横方向から圧迫されることが主な原因とされています。一方で、巻き爪は、足の指に力のかからない寝たきりや車椅子の方、足に麻痺がある方にもよく見られます。本来、足の指の爪は歩行時に下からの力を受けることによって、なだらかなアーチ形に保たれています。この力が不足すると、爪は丸まってしまうと考えられています。このため、足の痛みや変形(タコ、ウオノメ、扁平足、外反母趾など)、爪の疾患(爪白癬、陥入爪など)により、足の指を地面につけずに歩く、いわゆる「浮き指」状態になっていると巻き爪を起こしてしまいます。

A.保護法(爪が皮膚を圧迫しないように保護して痛みを取る方法)
  • テーピング法
  • コットンパッキング
  • アクリル人工爪法*
B.爪矯正法(爪の弯曲を平らにする方法)
  • 超弾性ワイヤー法*
  • VHO法
  • プレート法*
C.爪切りについての注意

変形し、厚みのある爪のケアには、ニッパーやヤスリの使用が便利です。
爪の先端が引っかからないようにこまめに爪切りすることが勧められますが、深爪や爪の切り残し(爪棘)を避け、周りの皮膚を傷つけないよう注意が必要です。

  1. 圧迫を避ける
    フットウェアの選択や調整をして、爪が強く圧迫されないようにします。
  2. 正しい歩行
    足の指に適度な力が伝わるように、正しい歩き方をしましょう。足の形に合った靴を選び、インソールなどで足の骨格の歪みやバランスを調整することも予防につながります。
  3. 正しい歩行を妨げる原因となる疾患の治療
    まずは、足の痛みや変形、爪の変形の原因となる病気の治療を行い、原因を排除します。
ワイヤー(自費診療)7,700円
ワイヤー リネイルゲル付き(自費診療)11,000円
VHO(自費診療)13,200円

(表示価格は税込です)

巻き爪(陥入爪)|うえだ皮膚科内科八田院|名古屋市中川区