白癬(はくせん)は、皮膚糸状菌というカビ(真菌)によって引き起こされる感染症で、正式には「水虫」とも呼ばれます。皮膚の表面に病変を作り、赤みや小さな水疱ができ、皮膚がふやけて剥がれ落ちるようになります。日本では、T.RubumとT.Mentagrophytesuの2種類の白癬菌がほとんどをしめています。その他の白癬菌にT.Tonsuransやペットから感染するM.canisuがあります。

足白癬
  • 趾間型…足指のあいだが白くふやけ、じくじくしたり、皮がむけたりします。亀裂ができて痛みを伴うことがあります。
  • 小水疱型…足の裏や足縁などに小さな水ぶくれがみられます。かゆみが強いことが多いです。白癬菌も多数認められ、感染力が強いです。
  • 角質増殖型…足の裏がかかとを中心にかさかさします。

 

爪白癬

爪に白癬菌が入り、爪は黄色に肥厚し、爪の内側からぼろぼろと角質がとれてきます。最近では効果の高い外用薬も開発されてきましたが、基本的には内服治療の効果が高いため、内服治療をおすすめしています。軽度であれば、外用治療のみでよいこともあります。

 

頭部白癬

ふけが付着した脂漏性湿疹のようにみえる軽い症状の型や、炎症が強く毛の抜けてしまう型(ケルズス禿瘡)のものまであります。

 

体部白癬、頑癬

かゆみを伴い、境界が鮮明な環状の紅斑を形成してきます。股にできるのを頑癬といい、いわゆるいんきんたむしと言われているものです。肛門周囲まで広がることもあります。

 

白癬との鑑別疾患には「異汗性湿疹」「掌蹠膿疱症」などがあります。

白癬の診断では、皮膚や爪をKOH液で溶かして、顕微鏡で白癬菌の有無を観察します。一回の検査では、白癬菌を検出できないこともあります。すでに、市販の抗真菌剤をつけていたり、白癬菌の多くない部位もあるためです。何回か顕微鏡検査を繰り返すことによりはっきりする時もあります。このため、白癬か迷ったときには、市販の外用剤を使用する前に、皮膚科に受診されることをおすすめします。

外用治療

抗真菌剤の軟膏、クリーム、液を入浴後に1日1回外用します。足白癬では8週間以上外用します。爪白癬では、内服治療が必要になることもあります。

内服治療
  • テルビナフィン内服…1日1回1錠を食後に内服します。
  • ホスラブコナゾール内服…1日1回1カプセルを12週間内服します。
家族に移さないために気をつけること

白癬菌が皮膚についても洗い流せば菌が定着しないためうつりません。
(白癬菌が皮膚に定着するには12時間以上かかるといわれています。)

足ふきマットやスリッパは個人専用とし、洗って清潔にしましょう。また床や畳は掃除機でこまめに掃除しましょう。

白癬(水虫)|うえだ皮膚科内科八田院|名古屋市中川区