赤あざとは医学用語で「血管腫」と呼ばれる良性腫瘍です。赤あざができる原因はさまざまであり、不明な点も多いですが、血管が異常を引き起こし拡張や増殖をしている状態であるという点は共通しています。

あざが赤みがかって見えるのは、血管中を流れるヘモグロビンが原因です。血管腫によって拡大した血管が赤い色素をもつヘモグロビンにより、通常よりも肌に赤みがかかって見えるのです。

赤あざには生まれつき存在する物や生後出現する者など複数の種類があります。自然消退するものありますが、痕が残り続けるケースも多く、治療するには皮膚科など専門機関で診断を受け、適切な処置を受ける必要があります。

血管腫には以下のようなものがありますが、代表的な赤アザは、生まれつき存在する平らな単純性血管腫と、生後まもなく生じ、1歳頃までに急激に大きくなり、その後徐々に小さくなるイチゴ状血管腫です。その他、くも状(星芒状)血管腫は赤色の小さな結節を中心に放射状にのびる細かい血管の拡張で、妊娠時や肝障害時に生じやすいのですが、健康な人にみられることもあります。

単純性血管腫
苺状血管腫
くも状血管腫

赤あざ(血管腫)には以下の種類があります。

  1. 単純性血管腫
    生まれつき皮膚の表面に存在するあざ
    自然消退しない
  2. 乳児血管腫(いちご状血管腫)
    生後皮膚の表面に出現し、イチゴのように赤く盛り上がるあざ
    自然消退するが瘢痕が残ることもある
  3. 海綿状血管腫
    皮膚の深部にできる血管の固まり
  4. 血管拡張性肉芽腫
    皮膚の表面にできる赤く柔らかい良性腫瘍
    痛みはないが、傷つくと出血が続くときがある
  5. 老人性血管腫
    皮膚の表面にでき、平坦もしくはドーム状の赤いほくろのようなもの
    赤く光沢があり、自然消退しない
  6. くも状(星芒状)血管腫
    皮膚の表面にできるクモの足のような放射状のあざ
    妊娠中や肝障害に生じやすい
単純性血管腫・くも状血管腫

表面に盛り上がりのない平坦な赤あざの場合、レーザー治療を行います。赤あざの治療に用いられるレーザー機器としてVビームが挙げられます。Vビームは、血液中のヘモグロビンに反応しやすい色素レーザーで、異常な毛細血管のみを破壊できる医療機器です。

乳児血管腫や深部の血管腫

赤あざの原因となっている血管の異常がレーザーが届かないほど深部にできているケースや、乳児血管腫の増殖速度がレーザー照射によって抑えられないケースには薬物治療が効果的な場合があります。

あざの治療に用いられるのは、ヘマンジオルシロップという内服薬です。ヘマンジオルシロップは、もともと高血圧症や不整脈などの心疾患治療に用いられていたβブロッカー(プロプラノロール)を有効成分とする薬です。

 ヘルマンジオンシロップは、2016年7月に厚生労働省に承認され、乳幼児血管腫の治療に使用されるようになりました。ヘルマンジオンシロップを服用することで、血管腫が小さくなるのを速めたり、血管腫の増殖を抑えたりする効果が期待できます。しかし、乳幼児が服用する場合は、医師の指示に従って正しく使用する必要があります。小児科専門医による管理が必要となるので、クリニックではこの治療は行っていません。この治療が適切と判断した場合には総合病院へ紹介します。

乳児血管腫は自然治癒するケースもあります。生後に出現したものでかつ表面が盛り上がっているタイプの血管腫は乳児血管腫であり、時間の経過と共に自然治癒が見られる場合もあります。

また、乳児血管腫に対する薬物治療を行っても色が残る場合には、レーザー治療との併用が検討される場合もあります。

また、乳児血管腫の赤みが引いたあとに盛り上がりがある場合には、手術が必要な場合もあります。

VビームII

血液中に含まれるヘモグロビンに選択的に反応するレーザー光を照射し、 異常な血管にのみ熱を加えて破壊することで肌の赤みを改善します。

赤あざ(単純性血管腫)|うえだ皮膚科内科八田院|名古屋市中川区